私権に関する協議書や契約書を公正証書にする最大のメリットはどこにあるかを一言でいえば、それは「予防法務の真骨頂にある」と言って過言ではありません。
公正証書とは、法務大臣が任命し、指定された法務局や地方法務局に所属する公証人がその与えられた職権によって証書(私署証書や定款)を作成し、それが法的にも形式的にも不備や不都合のないものであることを認証したものをいいます。
従いまして、あらゆる法律に精通した公証人が作成する公正証書には、裁判になった場合における強力な証拠能力があります。
ということは裏を返せば、契約や協議のもう一方の当事者に「訴訟を受けて立っても到底勝ち目はない」と裁判を躊躇させる「抑止力」をこの公正証書は持っているということです。
裁判ともなれば時間もかかるしお金もかかりますから、「無駄なことはさせない」というのも相手への心遣いというものでしょう。「転ばぬ先の杖」ならぬ「転ばぬ先の公正証書」それこそがこの証書の真骨頂です。
また、公正証書に「強制執行認諾約款条項」を盛り込んでおけば、いちいち裁判の手続きを踏まずとも相手の財産などを差押さえることができますから、こういっては弁護士の先生からにらまれるでしょうが、弁護士費用の節約にもなりますし、何より合理的です。